ファクタリングは、資金調達手段として企業の価値を評価する際に有効な手法です。
資金繰りに苦しむ企業にとって、この評価方法は複雑な部分もあるため、手間取ることもあるかもしれません。
この記事では、ファクタリングを活用した企業価値評価の概要から、具体的な計算方法までわかりやすく説明します。
資金調達を検討している企業経営者の方々に、ぜひ参考にしていただきたい内容です。
企業価値を評価する「ファクタリング」とは?
まず、ファクタリングを用いた企業価値評価の仕組みと、そのメリット・デメリットについて解説します。
資金調達手段として活用される評価方法のひとつ
ファクタリングは、売掛債権を基にした資金調達手段で、企業の価値を評価する手法の一つです。
特に資金繰りに困難を感じている企業にとって、迅速な資金調達が可能な手段として広く利用されています。
英語では「Factoring」と呼ばれ、事業の流動性を高める効果があります。
ファクタリングは売掛債権の将来キャッシュフローを基にした方式
ファクタリングを活用した企業価値評価では、「企業が売掛債権により今後どれくらいの現金を得られるか」を計算します。
この方法では、未来のキャッシュフローを考慮し、リスクを加味して現在の価値に換算します。
具体的には、事業の収益予測に基づき、売掛債権の回収予測額を割引率で調整し、企業の現在価値を導き出します。
現在価値とは?
「現在価値」とは、将来受け取る資金を現時点での価値に変換した金額のことを指します。
例えば、今すぐ1,000万円を受け取るのと、10年後に同額を受け取るのでは、どちらが価値があるでしょうか。
多くの場合、すぐに受け取る方が価値が高いとされます。なぜなら、将来のリスクや不確実性が影響するためです。
このような「貨幣の時間価値」の考え方に基づき、将来のキャッシュフローを現在の価値に変換します。
ファクタリングを活用するメリット
ファクタリングの大きなメリットは、企業の短期的な資金繰りを改善できる点です。
現状では赤字でも、売掛債権が十分にある場合、今後のキャッシュフローが安定していると評価できます。
これにより、資金調達が容易になり、将来の企業価値も高く見積もられる可能性があります。
ファクタリングのデメリット
一方で、ファクタリングのデメリットは、正確な価値を算出するのが難しいことです。
売掛債権の回収率が予想通りにならない可能性もあり、不確実性が高くなることがあるため、評価額と実際の企業価値に差が出ることがあります。
ファクタリングを用いた計算方法
ここでは、ファクタリングを活用した企業価値の評価方法を例題を用いて説明します。
3つの基本要素を求める
ファクタリングを活用した評価を行う際には、まず「将来キャッシュフロー」「割引率」「ターミナルバリュー」の3つを求めます。
将来キャッシュフロー
まず、事業計画に基づいて予想されるキャッシュフローを算出します。これは、企業が売掛債権から得られる利益を基に計算します。
割引率
割引率は、将来のキャッシュフローを現在価値に換算するために使用される数値です。一般的に、リスク要素や資金コストに基づいて決定されます。
ターミナルバリュー
ターミナルバリューは、売掛債権回収期間以降の価値を指します。
計算式としては、最終年度のキャッシュフローを割引率で割り、その結果をターミナルバリューとします。
ファクタリングを用いた計算式
これらの要素をもとに、ファクタリングを使った企業価値を導き出す計算式は次のようになります。
キャッシュフロー ÷(1 + 割引率)^ n年目
例題に当てはめて計算すると、1年目のキャッシュフローは以下のように算出されます。
1年目・・・100 ÷(1 + 0.1)^1 =90.9
同様に2年目、3年目以降も計算を行い、最終的な企業価値を算出します。
まとめ
ファクタリングを用いた企業価値評価は、短期的な資金繰りに苦労している企業にとって有効な手法です。
将来のキャッシュフローを考慮しながら、売掛債権の現金化により企業価値を適切に評価できます。
この方法を活用することで、資金調達を効率化し、企業の成長戦略に役立てることが可能です。