資金繰りを見直す!企業が助けを得られる7つの相談先

経営において、支払いに追われる状態や、売上があるにもかかわらず資金が足りない状況に陥っている場合、資金繰りが深刻化している可能性があります。

早急に解決策を講じる必要があると認識していても、具体的にどこから手を付ければよいのか迷う経営者も少なくありません。

こうした資金繰りの問題に直面した際には、財務の専門家や政府が運営する公的な支援機関に相談することで、解決への道筋が見つかることがあります。

本記事では、資金繰りが困難な状況に直面した際の相談先についてご紹介します。ぜひお読みください。

資金繰りの問題をすぐに相談すべき企業とは?

資金繰りの悪化を放置してしまうと、気づかないうちに経営危機が進行し、最悪の場合倒産に至ることがあります。

そのため、資金繰りの問題が表面化したらできるだけ早く専門家や支援機関に相談することが重要です。

以下では、資金繰りの問題を抱える企業がどのような状況にあるのかを詳しく説明します。自社が該当するかどうか、確認の参考にしてください。

月末の現預金残高をすぐに把握できない

月末時点で現預金の金額が明確に分からない状態は、資金繰りの管理が不十分であることを示しています。

このような状況では、翌月以降の支払いが滞り、急な資金不足に対応できないリスクが高まります。

利益が出ていても、支払い不能に陥れば「黒字倒産」の可能性があるため、資金管理を習慣化することが求められます。

売掛金の割合が高い

掛取引では、取引先からの入金が通常1〜2か月後になるため、売掛金が多い場合、資金の流れが滞る可能性があります。

売掛先ごとの入金予定を明確に管理しないと、支払いが必要なタイミングで資金不足に陥る恐れがあります。

売掛金の管理に課題を感じている場合は、専門家に相談することを検討してみてください。

売上があっても資金不足を感じる

売上が順調に推移しているように見えても、支払いのたびに資金が不足する状況は、資金繰りの再検討が必要であることを示しています。

売上が発生してから入金までの期間の差異が、資金繰りに悪影響を与えることが少なくありません。

そのため、売上と実際の現金収入の違いを正しく理解し、専門家の助言を得ることで改善を目指すべきです。

売上が季節変動する業種である

季節ごとに売上が変動する業界、例えば観光業や農業などでは、閑散期を見据えた資金繰り計画が不可欠です。

年間を通じた経費の見通しを立て、閑散期でも安定した経営ができるように準備を整えましょう。

長期間のプロジェクトを進めている

建設業や新規開発など、長期プロジェクトに関わる場合、資金繰りが不安定になるリスクがあります。

資金が不足しがちな状況を未然に防ぐため、必要に応じて資金調達を行う準備をしておくことが重要です。

急成長を目指している

事業拡大のための投資が必要な場合、資金管理が適切でないと、成長の過程で資金不足に陥るリスクがあります。

計画的に資金調達を行い、適切な資金運用を行うことが求められます。

資金の借り入れを繰り返している

「自転車操業」と呼ばれる状態、つまり借入金の返済を別の借入金で補う状況は、非常に危険です。

根本的な資金繰りの改善が必要であり、早急に専門家の助言を仰ぎましょう。

資金繰りを健全に保つためにキャッシュフローを分析する

資金繰りが適切に管理されているかどうかを確認するには、キャッシュフローを徹底的に見直す必要があります。キャッシュフローの仕組みを理解し、適切に分析することで、自社の資金状況を正確に把握することが可能になります。

ここでは、キャッシュフローの基本的な構造と、それぞれの内容について解説します。

キャッシュフローの基本とは

キャッシュフローとは、企業の資金の流れを示す指標で、一定の会計期間内にどれだけの資金が流入し、流出したかを把握するために用いられます。

これには主に以下の3つの分類があります。

  • 営業活動によるキャッシュフロー
  • 投資活動によるキャッシュフロー
  • 財務活動によるキャッシュフロー

それぞれの内容を詳細に理解し、プラス・マイナスの動きを分析することで、企業の経営状況を正確に診断することができます。

営業活動のキャッシュフロー

営業活動に関連するキャッシュフローは、企業の主たる業務による資金の動きを示しています。例えば、商品やサービスの販売から得られる収益や、それに関連する費用が含まれます。

この項目がプラスであれば、本業が順調であることを示します。一方、マイナスが続いている場合、赤字が続いている可能性が高いため、速やかな改善が必要です。

投資活動のキャッシュフロー

設備投資や資産購入などに関連する資金の動きが「投資活動のキャッシュフロー」です。これがプラスであれば資産を売却して資金を得たことを示し、マイナスであれば新たな投資や設備購入が行われたことを示します。

投資活動がマイナスであっても、事業成長のために計画的に投資されている場合は必ずしも悪いことではありません。ただし、投資のリスクとリターンを慎重に見極める必要があります。

財務活動のキャッシュフロー

財務活動のキャッシュフローは、融資や資金調達、返済などに関連する資金の流れを示します。

この項目がプラスの場合、外部からの資金調達が行われていることを意味し、マイナスの場合は、主に借入金の返済が行われたことを表しています。プラスだからといって必ずしも良い状態とは限らないため、他の項目と合わせて総合的に分析する必要があります。

自由に使える資金「フリーキャッシュフロー」

フリーキャッシュフローとは、「営業活動によるキャッシュフロー」と「投資活動によるキャッシュフロー」を合計したもので、企業が自由に使える資金を示しています。

この項目がプラスであれば、十分な資金が確保されている状態です。一方、マイナスの場合は短期的な資金不足に陥っている可能性があるため、早急な対応が求められます。

キャッシュフローを分析して経営状態を把握する

キャッシュフロー計算書を活用して、企業の経営状態を分析することは、健全な経営を維持するために非常に重要です。

以下に、キャッシュフローの状態に基づいた企業の代表的なパターンをいくつかご紹介します。

安定した経営ができている企業

営業活動がプラスであり、投資活動と財務活動がマイナスの場合、本業で利益を得ながらも積極的な投資が行われており、資金調達なしに事業が運営されていることを示しています。

さらに、フリーキャッシュフローもプラスであれば、余裕資金が確保されているため、非常に安定した経営状態といえるでしょう。

成長期にある企業

営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスの状態は、成長を目指して投資を積極的に行っている企業に多く見られるパターンです。

外部からの資金調達を活用しながら、将来の成長のための投資を行っている段階にあることを示しています。

経営再建を進める企業

営業活動と投資活動がプラス、財務活動がマイナスの状態は、保有資産の売却を行いながら経営の立て直しを図っている企業に見られる傾向です。

本業で利益を得ることができているため、この状態を継続すれば、徐々に経営を安定させることができる可能性があります。

積極的な先行投資を行う企業

スタートアップ企業などが該当するケースでは、営業活動と投資活動がマイナスで財務活動がプラスになることがあります。

このパターンでは、本業で利益を上げることよりも成長を優先し、外部から調達した資金を積極的に投資している状況を示しています。

返済に迫られる企業

営業活動がマイナスで、投資活動がプラス、財務活動がマイナスの状態は、主に借入金返済に苦労している企業に見られる傾向です。

本業の利益が出ておらず、資産売却で得た資金を返済に充てている状態で、この状況が続くとさらに経営が悪化するリスクがあります。

資産売却に依存せず、本業での収益を確保できるよう改善を図る必要があるでしょう。

即座の経営改革が必要な企業

営業活動がマイナスで、投資活動と財務活動がプラスの場合は、自転車操業に陥っている可能性があります。

本業で十分な収益が得られず、資産売却や借入金による資金調達で経営を維持している状態です。

このような状況に陥った場合、外部の専門家に相談し、迅速に経営の立て直しを図ることが必要不可欠です。

企業が資金繰りについて相談できる窓口

資金繰りの悪化が疑われる場合や、すでに資金不足に直面している場合、適切な機関に相談することで解決の糸口が見つかることがあります。

以下に、資金繰りの相談ができる主要な窓口をご紹介します。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、国が運営する公的金融機関で、主に中小企業や個人事業主の支援を目的としています。

この機関では、資金繰りの改善策を提案したり、事業再生の支援を行ったりするなど、幅広い相談に対応しています。

また、融資制度も充実しており、資金調達に関する相談を安心して行うことができます。

商工組合中央金庫

商工組合中央金庫(商工中金)は、中小企業を対象に融資や経営改善のサポートを行っています。

特に、資金繰りの改善や財務基盤の強化を図りたい企業にとって心強い存在です。

さらに、商工中金は海外進出を目指す企業に向けた支援も行っており、設備資金や運転資金の融資、手形割引の発行など、幅広いサービスを提供しています。

信用保証協会

信用保証協会は、中小企業や小規模事業者が資金調達をスムーズに進められるよう設立された機関です。

この機関では「信用保証制度」を利用することで、金融機関からの融資を受けやすくする支援を行っています。

保証協会のサポートを受けることで、融資に必要な信用力を補完できる点が大きなメリットです。

中小企業庁

中小企業庁は、日本の行政機関として、中小企業や小規模事業者に向けた金融支援を幅広く展開しています。

資金繰り全般の相談だけでなく、経営上の課題解決や資金調達に関するアドバイスも行っています。

経営者が抱える資金面の悩みを相談する窓口として、非常に頼りになる存在です。

金融機関

資金繰りの悪化が深刻な場合、銀行や信用金庫といった金融機関に相談することも選択肢の一つです。

ただし、金融機関では主に融資相談が中心で、資金繰り全体の管理や改善についての助言は提供されない場合もあります。

具体的な資金繰りの改善計画を準備したうえで相談することで、より効果的な提案を受けられる可能性が高まります。

税理士

顧問税理士を雇っている企業であれば、税理士に相談するのも有効な手段です。

税務の専門家として企業の財務状況に精通しているため、適切なアドバイスをもらえる可能性があります。

ただし、税理士の専門分野は税務に限定されていることが多いため、資金繰り全般の知識が豊富であるかどうかは事前に確認しておくと良いでしょう。

中小企業診断士やコンサルタント

中小企業診断士や経営コンサルタントなど、財務に詳しい専門家に相談することで、より具体的な資金繰りの改善策を提案してもらうことができます。

また、補助金や融資の申請を代行してくれる場合もあり、必要な書類の準備を任せられる点も魅力です。

どのような内容を相談できるのか?

相談できる内容は窓口によって異なりますが、一般的には以下のような項目が挙げられます。

  • 現状の資金繰りの課題整理
  • 資金調達に関するアドバイス
  • 経営改善や事業再生に向けたサポート

初心者が苦手とする「事業計画書」や「経営改善計画書」の作成も、専門家に依頼することで迅速かつ効果的に進められるでしょう。

外部機関へ資金繰りを相談するメリット

資金繰りの管理は、経営者が担う重要な業務の一つです。資金が途絶えれば事業の継続が難しくなるため、財務状況を常に監視する必要があります。

しかし、専門的な知識を身につけるには時間と労力が必要です。そのため、外部の専門家や機関に相談して、的確な助言を受けることが有効な場合も多いです。

ここでは、外部の支援を活用することによる主なメリットについて解説します。

客観的視点で問題点を明確化できる

経営者は自社の状況を深く理解している一方で、視点が偏ることもあります。

外部の専門家に相談することで、第三者の視点から課題を見つけ出し、根本的な解決策を提示してもらうことが可能です。

これにより、見過ごされがちな問題点に気づき、資金繰りの改善につながるアプローチが取れるでしょう。

幅広いサポートを受けられる

資金繰りの専門家は、財務分析だけでなく、資金調達や補助金の活用など、多岐にわたるサポートを提供しています。

必要な書類の作成や申請の手続きなど、経営者が手をつけにくい部分も代行してもらえる場合があります。

ただし、サポート内容は専門家によって異なるため、相談の際には事前に確認しておくことが重要です。

黒字倒産を未然に防ぐ

利益が出ていても資金不足に陥れば、支払い不能により「黒字倒産」に至る可能性があります。

外部の専門家に資金繰りを相談することで、資金の流れを的確に把握し、支払いタイミングを見越した計画を立てられるようになります。

これにより、予期せぬ資金不足を回避し、黒字倒産のリスクを減らすことができます。

長期的な成長を促進できる

適切な資金繰り管理ができていないと、設備投資や新規事業に必要な資金を確保することが困難です。

資金繰りの改善により、事業拡大に向けた余裕資金を確保できれば、企業の成長を長期的にサポートすることが可能です。

専門家の助言を受けながら、資金運用の戦略を立てることが重要です。

金融機関からの信頼を得られる

金融機関が融資の判断を下す際、資金繰りの計画が明確であるかどうかが重要なポイントとなります。

外部の専門家に相談し、的確な資金計画を立てている企業は、信頼性が高いと評価され、融資が通りやすくなる可能性があります。

この信頼性の向上は、今後の資金調達にも大きなメリットをもたらします。

専門的な業務を委託して効率化する

資金繰りの管理や財務分析が不得意な経営者にとって、これらの業務を外部に委託することは有効な選択肢です。

専門知識を持つプロに業務を任せることで、経営者自身が本来集中すべき事業運営や新規プロジェクトに専念する時間を確保できます。

また、交渉や書類作成など、煩雑な作業を任せられることで、業務の効率化が図れるでしょう。

経営者の時間を確保できる

経営者が企業の将来を見据え、次の展開を計画する時間を確保することは非常に重要です。

しかし、日常的な資金管理に多くの時間を費やしてしまうと、経営戦略を立てる余裕が失われることがあります。

外部の専門家に資金繰りの管理を依頼することで、経営者の時間を効率的に活用でき、企業の成長戦略に集中することが可能になります。

まとめ

資金繰りの改善が必要だと感じたら、まずは現状を把握するためにキャッシュフロー計算書を活用し、課題を明確化することが重要です。

そのうえで、必要に応じて専門家や行政機関に相談することで、客観的な視点から問題を分析し、解決策を見つけることができます。

本記事で紹介した相談先を活用し、自社の資金繰り改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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